今回の過呼吸はおそらく過換気症候群といわれるものだと思われます。小児では比較的少なく、思春期に増えてきます。体力とは無関係に症状が出現し、心因性(心の問題)の関与が大きいとされています。症状自体は短時間で治まることが多いのですが、繰り返す場合は心のケアが必要になってきます。お子さんと関わる時間を増やすことは必要ですが、お父上の仕事を変えれば解決するというわけではないでしょう。受診をするなら心療内科になります。
■過呼吸になるとどうなるの
過呼吸とは呼吸数が通常に比べて増えている状態です。“息を吸えない”と感じてしまい、苦しくなることから始まってきます。動悸や手足・口のしびれ、手の指をうまく動かせなくなるなどの症状があります。時には意識を失うこともあります。
このような状態のときに血液を採取すると、血液の中の二酸化炭素が減少して血液のpH(水素イオンの濃度を表す指数)が上昇しています。
呼吸数が早くなり、ハアハアしてしまった人が紙袋を口に当てている光景を見たことがある人もいるかもしれません。これは、一度紙袋に吐いた空気(通常の空気よりも二酸化炭素の割合が高い)を再び吸うことで、体内の二酸化炭素の量を増やすことが目的です。上記の症状は体内の二酸化炭素が減少することが原因なので、この方法で体内の二酸化炭素を増やせば症状も改善します。
過換気症候群とはこのような過呼吸を起こす発作を指します。
■どんなときに過呼吸になるの
思春期の、特に女性に多いものです。心理的な問題や対人関係などの問題が引き金になって症状が出てくることが多いようです。また、これらに関連した強いストレスがかかると過換気症候群が出現します。
今回は、野球のとき以外では過換気になっていないようなので、野球がストレスの原因になっているように思われます。お子さんに野球が好きなのか、今のチームでの練習や対人関係はうまくいっているのか、など確認する必要があると思います。
■過呼吸を繰り返すときは
とりあえず、なってしまった過換気症候群に対しては、紙袋で対処するようにします。また、気分を落ち着かせることも症状緩和には有効です。
根本的には原因要因への対処が必要です。今回の場合は野球でのストレスが強いようです。親子でチームの練習や対人関係についてよく話し合ってみてください。また心理的な側面が強いので、喘息や胸部疾患などはないことが前提ですが、心療内科などで相談することが必要です。親子のコミュニケーションは必要ですが、原因が別にある場合は必ずしも即解決に向かうわけではありません。逆に“僕のせいでお父さんが仕事をやめた”とお子さんが自分を責めてしまうことがあるので注意が必要です。
■その他の紛らわしい病気
小児ではやはり少ないのですが、パニック障害やヒステリーなども類似の症状を起こすことがあります。これらも心理的要因が強いので、やはり心療内科などが適切な受診科になります。
その他には喘息や心疾患などがあります。今回の場合、これらの可能性は低いと思いますが、確認のために呼吸器科や小児科を受診することは良いことだと思います。