子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

今回は手の汗です。興奮したり緊張したりして気持ちが高まったときに、手のひらや脇の下、足の裏などに出る汗を精神的発汗といいます。「出やすい」「出にくい」は体質と考えて差し支えありません。程度によっては外用薬を使ったり、成人では手術を行ったりすることもあります。

汗が出る仕組みとは？

汗が出てくる場所を汗腺といいますが、これはエクリン腺、アポクリン腺に分けることができます。エクリン腺は全身の皮膚に存在し、汗を出して体温調節の働きを行っています。アポクリン腺は脇の下や外陰部など特定の場所に存在します。ちなみに、アポクリン腺は思春期以降に分泌が盛んになりますが、ここからの分泌物が微生物に分解されると特有な体臭を出します。

発汗過多とは

エクリン腺からの汗が増えている状態です。汗は体温調節に重要な役割を果たし、神経や皮膚の汗腺自体などでコントロールされています。汗が常に多いような時は、神経の病気や内分泌の病気なども考える必要がありますが、病気以外でも緊張・興奮などで強い発汗が起きることがあります。緊張などによる発汗は手のひらや足の裏に特有で、精神性発汗や情動刺激発汗という言いかたをします。

今回の場合

普段は気にならない程度で、楽器の練習中に手の汗が増えるということから、今回は精神性発汗だと思われます。文字通り緊張や興奮などの精神的なものによって起きるので、慣れている場所や慣れている相手の時はあまり汗が出ないと思います。手のひら以外にも足の裏や脇の下に汗が多いと思いますので、確認してみてください。

対策は

精神性発汗の場合は、リラックスすると汗は引いてくるので、慣れることができれば改善すると思います。また薬を使う方法としては、塩化アルミニウムの溶液などを手に塗ってもよいですが、肌に合う、合わないなどの問題もありますので、一度受診することをお勧めします。受診されるなら、まずは皮膚科が良いと思います。治療が効きにくい場合は交感神経を切除する手術という方法もありますが、今回の相談内容でしたら必要ないと思われます。