子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

発熱時に痙攣(けいれん)を起こします

時期
1年くらい前から?
お子さんの年齢と性別
3歳8ヶ月・男の子
症状の詳細

2歳のころ複合型熱性けいれんで30分以上痙攣していて、大学病院に1週間ほど入院しました。脳波の異常もなく通常通りに退院しました。それからはダイアップを常備しています。それ以降、熱を出すと悪寒というか痙攣(けいれん)を起こすようになりました。先日も発熱してブルブルしていました。ためしに時間を計ったら夜の12時ごろから3時くらいの間で約10分くらい、5秒間震えてました。そのとき子供は「アアア」とか「イイイ」とか「ヤメテよヤメテよ」とか言っています。ギュッと抱きしめてあげると安心するらしく落ち着きますが、今日は寝たくないとか、この部屋ではイヤとか言い出します。発熱するたびにこのような症状が起きます。病院で聞いても、それくらいなら大丈夫でしょうくらいの回答でした。以前よりガクガクする回数も多い気がします。今後の対策はどうすればいいのでしょうか?

(たっくん さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は熱性けいれんのあとの発熱に関する相談です。痙攣と悪寒は違うものです。発熱した時に体が震えるのは悪寒で通常の反応なので問題ないです。一方、痙攣を何度も繰り返しているならば再度脳波などの検査が必要になると思います。今回は悪寒の可能性が高いように思われますが、頻度が多いようなので、ビデオで撮影したものを持って受診することをお勧めします。

熱性けいれんとは

小児期にもっとも多い痙攣発作です。1〜2歳ごろに最初の発作がくることが多く、体温が急に上昇した時に全身性の痙攣が起きます。多くは5分以内に治まりますが、30分以上続くこともあります。今回のように30分以上痙攣が続いていると複雑型の熱性けいれんとなります。その他に1日に何度も痙攣をおこすような時も複雑型になります。
ただし、血液検査でも低血糖や電解質異常などはなく、脳波や頭部のCT、MRIなどでも通常は異常がありませんので、何かの検査で明確に見つけるのは難しいです。複雑型の熱性けいれんの場合、痙攣の発作予防としては、抗痙攣薬(ダイアップ座薬)を発熱時に使用することが一般的になります。
ちなみに病名では熱性けいれんと平仮名を使い、それ以外では痙攣、と使い分けています。

痙攣を起こすほかの疾患

脳炎や髄膜炎、頭部の腫瘍などでも痙攣の原因となりますが、今回の場合は当てはまらないと思います。
熱性けいれん以外の痙攣発作の代表的疾患はてんかんになります。これは部分発作と全身性の発作に大きく分けることができます。部分発作の場合は意識が保たれる単純部分発作と、意識がなくなる複雑部分発作に分けられます。今回の場合は発語ができているので全身性の発作ではなく、また部分発作のなかでも単純部分発作ならば可能性はあります。ただし、てんかんは繰り返す発作と脳波異常があります。このため今回の場合は、以前の検査で脳波異常がないようなので、てんかんと言い切れるようなものではないと思います。

また痙攣発作と似た症状を起こすものもあります。たとえば夜驚症では夜中に突然叫んだり暴れたりします(ただし、年齢は幼児期後半が多いですが)。他にも身震い発作でも全身の身震いで体や頭を震わせます。背中に急に氷を入れた時のような震え方を想像してもらえると良いでしょう。この発作は1日に何度も繰り返すことがあります。

今回の場合

初回は熱性けいれんの複雑型と思われます。上に挙げたような疾患の可能性はありますが、発熱に伴う悪寒(震え)とも考えられます。ダイアップによる痙攣予防は今後も続けたほうが良いでしょう。脳炎などでの痙攣でなければ、1日を争って治療が必要なことはほとんどありません。しかし悪寒でなく痙攣ならば脳波などの検査を繰り返し行い、時に抗痙攣薬の内服による治療が必要になります。その判定を正確に行うためにも、可能ならばその時の様子をビデオなどで撮影して、主治医と相談することをお勧めします。

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