子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

今回はお尻の痛みです。痔や便秘などが原因でお尻の痛みを訴えることはありますが、きちんと便が出ていて、血便などがない場合は様子を見ていて良いと思います。しかし、蟯虫（ぎょうちゅう）などを始めとする寄生虫でも腹部の症状を訴えることがあります。ただし、症状が１年前からということなので、寄生虫ではないかもしれません。受診をするならばこのような点に気をつけて診察を受けると良いと思います。

子供も痛みの訴え

２〜３歳くらいのお子さんは言葉での表現が十分でなく、頭や喉が痛くても“お腹が痛い”と訴えることがあります。また“痛い”といっても必ずしも痛いわけでなく、痒かったり何か違和感があったりするときでも“痛い”と表現してしまうことがあります。このため本当に痛いのかを見極めることが必要になります。

お腹、お尻の痛み

上記のことを踏まえて少し幅を広げ考えてみます。いくつか例をだしましょう。痔があると肛門が切れて出血をしたり、痛みを伴ったりします。また、痔があると排便時に苦痛を伴うのでトイレに行って排便することを嫌がり便秘になる傾向もあります。
便秘の場合は腸が動いた時に腹部の痛みを訴えることがあります。さらに直腸が圧迫され、お尻の違和感を訴える時もあります。
衛生状況が良好な日本では少ないのですが蟯虫や回虫といった寄生虫でも肛門のかゆみや痛みを訴えることもあります。これは便検査をすることで確認できます。
その他、まれですがポリープ（腫瘍）などでも痛みや違和感などがあります。

今回の場合

肛門周囲の見た目に問題がないようなので肛門自体の疾患は可能性が乏しいと思います。確認するなら、便の性状や排便回数です。肛門の中が出血していることもあるのですが、その確認には受診が必要です。家族で同じような違和感や痒みを訴える方がいるときは、蟯虫などの検査も必要になるかもしれません。そのような点を観察してから一度受診をしてみることをお勧めします。