子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

日本脳炎にかかる可能性はどのくらい?

時期
現在、特に症状はありませんが、外遊びを良くするので心配です
お子さんの年齢と性別
6歳2ヶ月・女の子
症状の詳細

日本脳炎は今どのくらい日本で発生しているのでしょうか。また、海外のみならず日本でも発生しやすい地域などはあるのでしょうか。かかった場合、重症化することが多いことはいろいろなところで見聞きするのですが、現状としてかかる可能性がどれくらいなのかがわかりません。教えていただけますか。

(心配ママ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は日本脳炎に関する質問です。国立感染症研究所のホームページに詳しい情報があるので、そちらもご参照ください。

この数年間における日本脳炎の国内発症は毎年10人以内です。国内では九州、中国地方に多く、東日本では少ないです。2000年以降のデータでは北海道、東北地方で日本脳炎の発症はありません。
住んでいる地域にもよりますが、現在の日本では今のところ感染する可能性は低いと思います。

日本脳炎の症状

日本脳炎は約1〜2週間の潜伏期のあと発症します。発熱、頭痛、嘔吐、腹痛などのほかにけいれんといった神経症状を呈することがあります。意識状態も錯乱から眠気などさまざまです。致命的な場合は急速に昏睡に到り、10日以内に死亡します。死亡率は2〜4割と高く、救命できても発達や神経、運動などの後遺症がでることが多いです。

日本脳炎の感染様式

日本脳炎に感染しても全員が上記のような症状が出るわけではありません。感染して発症する人は、0.1%〜4%程度です(報告によって幅があります)。日本を含む東アジアや東南アジア、南アジアが主な流行地域です。
人への感染は次のように起こります。まず豚の体内に日本脳炎のウイルスが入ると、豚のなかでウイルスが増殖します。そしてその豚の血液を吸った蚊(コダカアカイエ蚊)がウイルスを運び、人を刺すときに日本脳炎に感染させます(蚊がウイルスの運び屋になります)。したがって、日本脳炎に対する抗体を持っている豚(=日本脳炎に感染している豚)が多いと、その地域では蚊に刺されないように気をつけたほうが良いということになります。日本でみると九州、中国四国地方の豚は日本脳炎に対する抗体を持っている比率が高いので、国内でも特に西日本は注意が必要ということになります。実際の発症人数は上記のとおり年間10人未満なので必要以上に恐れることはありませんが、蚊に刺されないようにする、といった自衛手段は講じても良いと思います。

日本脳炎の予防

日本脳炎にはワクチンがあります。しかし、以前に日本脳炎の予防接種で強い副反応が出てしまったことがあり、ワクチンの積極的接種の差し控えがされていました。そのため現在は、より安全性の高いワクチンが開発されています。これに関しては今後一般に供給されていくことになると思います。

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