子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

女の子、陰部がにおうんです

時期
1〜2年くらい前からだと思います。1日中紙パンツを使っていた時には私が気づかなかっただけかもしれません。
お子さんの年齢と性別
3歳11ヶ月・女の子
症状の詳細

娘のことなのですが、女の子の大事な部分が匂うんです。毎日お風呂も入っていますし、トイレの後も小の時は自分で拭いていますが、大の時は大人がウォシュレットで洗ってあげたり、赤ちゃん用のお尻拭きで拭いてあげています。匂いが気にならないのは風呂上りの時くらいで、翌朝にパジャマから着替える時には既に匂いが気になっています。何かの病気なのでしょうか?それとも単なる体質でしょうか?これからの季節は私も気になりますし、もしお友達などから匂いのことを言われて「いじめ」などあったら心配です。何とかしてあげたいです。ちなみに夜のみ紙パンツを使用しています。

(むぎむぎ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は陰部のニオイです。体のニオイは個人差が大きく、小児では尿の濃縮やその拭き残しなどでアンモニア臭が残ることもあります。また膣の炎症などでも強いニオイがすることがあります。ニオイの他にオリモノ(帯下:たいげ)が付いていないか、痒みがないかなども確認してください。また、ニオイの感じ方は人によって異なります。本人や周囲は気にしていないことも多いのでその点も確認してください。

膣の自浄作用

エストロゲンというホルモンが分泌されることによって女性の膣粘膜は増殖していきます。またプロゲステロンというホルモンの作用で膣の粘膜にグリコーゲン(糖のことです)が産生されます。膣の粘膜が脱落するときに、粘膜の細胞に蓄えられたグリコーゲンが放出されて乳酸菌によって乳酸が作られます。その結果、成人女性の膣はpH 3.8-4.9と酸性に保たれ、病原体の侵入や増殖を防いでいるのです。これが膣の自浄作用です。
しかし、エストロゲンの分泌は小児や老年期の女性では分泌量が少なく乳酸を十分に作ることができないため、膣のpHはほぼ中性になっています。そのため上記の膣の自浄作用の働きが弱く感染しやすい状態になっています。このため小児では局所の不潔や傷などから細菌感染を起こし小児腟炎を起こすことがあります。

腟炎の症状

どのような菌に感染するかによって症状は異なりますが、細菌が膣に感染すると魚臭がすることがあります。また、オリモノが下着に付着することがあるので確認してください。カンジダに感染した場合は強い痒みが出ますが、細菌性の腟炎でははっきりした痒みが出ないこともあります。

今回の場合

今回は強いニオイがありますが、陰部の皮膚の傷や発赤の有無、痒みやオリモノなどがないか確認してください。このような症状がある場合は感染の可能性もありますので、受診することをお勧めします。感染などの原因がなければ、ニオイは体質によるところが大きいと思います。しかし清潔を保ち、衣服を着けていると意識しなければ周囲が気になるほどにならないことが多いです。周囲の人がどの程度ニオイを感じているか確認しても良いと思います。またニオイが周囲でも気になるほどのときはハーブなどの匂い袋なども一考の余地があると思います。

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