子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

赤ちゃんの胸にしこりができています

お子さんの年齢と性別
1歳1ヶ月・女の子
症状の詳細

以前風邪で小児科を受診したときに、子供の胸にしこりがある、と言われました。赤ちゃんのうちに胸がふくらんでしまう病気で、経過観察が必要との説明でした。そのときまで全く気が付かなかったので、気が動転してしまい、原因や治療法などを聞けなかったのですが、どのような病気なのか教えていただければと思います。よろしくお願いします。

(ぺちゃうさこ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は1歳のお子さんの乳房にあるしこりです。1歳という年齢を考えると、「早発乳房」の可能性が高いと思われます。「早発乳房」の場合は、しこりは基本的に良性のもので自然に縮小してしまうことが多いです。
「早発乳房」以外の可能性としては、「思春期早発症」などのホルモン分泌異常による性早熟や、その他副腎などの「内分泌疾患」や「乳腺線維腺腫」があります。このような場合は経過を見て治療を考えていく必要があります。

早発乳房とは

2歳ごろまでに起きることが多く、乳房の一時的な腫大をおこします。多くの場合、自然に縮小していきますが、なかには5年以上腫瘤が続くこともあります。原因ははっきりしていません。新生児期は下垂体−卵巣の活性化があり、通常思春期までは卵巣は不活性状態になっています。この活性化から不活性状態への移行が遅れて、活性状態が長くなっていることが「早発乳房」の原因の1つとも考えられています。

経過観察のポイント

「早発乳房」の場合、その他の症状がないかを経過観察していけば良いと思います。観察の具体的な注意点としては、乳房の大きさが増大傾向になっていないか、恥毛や腋毛が生えていないか、初潮が早すぎないか、身長の伸び方が急激すぎないかなどです。
乳房や恥毛は自宅で観察できると思います。身長に関しては母子手帳についている成長曲線にグラフをつけて標準の範囲に収まっていることを確認してください。これらの観察において異常があれば、「早発乳房」以外の可能性を疑う必要があります。

今回の場合

1歳前に気付かれた乳房腫大なので、病院では「早発乳房」と指摘された可能性が高いと思います。何故なら、「思春期早発症」や「内分泌疾患」は頻度も少なく、また「乳腺線維腺腫」等の乳房腫大を来す疾患は10代以降に多く年齢的に考えにくいからです。
「早発乳房」ならば自然に軽快する可能性が高く、特別な治療も必要ありません。経過を観察するのはその他の疾患の症状が出てこないかを確認するためです。落ち着いてお子さんの胸に変化がないか(特に大きくなっていないか、触った感触に変化がないか)、体格や恥毛などがないかなどを観察してあげてください。

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