子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

今回は思春期前の陰毛発現ですね。まずは受診をお奨めします。結果として経過を見て良い場合もありますが、思春期早発症の可能性もあります。思春期早発症の場合は治療が必要になる可能性もあるからです。

思春期早発症とは

通常の思春期は視床下部、下垂体、性腺から分泌されるホルモンでコントロールされますが、このホルモンの分泌バランスが崩れることで二次性徴が早期に始まるものを思春期早発症と言います。主な症状は二次性徴の早期出現とその進行です。女の子ならば主症状として７歳６ヶ月未満で乳房発育が起きる、８歳未満で陰毛発生・腋毛発生、10歳６ヶ月未満で初経が起きる、などが挙げられます。また、身長は一時的に高くなりますが、成長が早い段階で止まってしまうため、最終的には低身長になります。

早期恥毛発育症

思春期前の年齢で恥毛の発生を認めますが、その他の性早熟徴候がないものを指します。年齢的には６〜８歳に起きる副腎(腎臓の上にあるホルモンを分泌する組織です)の成熟が関与すると推測されています。この場合もやはり検査をして経過を見て、良いものか確認する必要があります。
思春期早発症のなかには二次性徴や骨年齢の成熟がゆっくりすすむタイプ(slowly progressive type)もあり、この場合は無治療でもよいとされています。
ちなみに生まれてからの年齢を暦年齢といいます。一方、体が成熟すると骨も成熟してきます。レントゲンで骨の成熟具合を調べたものを骨年齢と言います。

今回の場合

陰毛が６歳から発生しているため、その他の性早熟の徴候がないか、身長や骨年齢、ホルモンの分泌亢進がないかなどを確認する必要があると思います。そのため受診をすることをおすすめします。お子さんには隠れた病気がないかみてもらおう、と声をかけて受診を促してください。