子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

高熱で幻覚…発熱時の異常行動とは?

時期
4〜5年前から、年に1〜2回あるかないか
お子さんの年齢と性別
7才10ヶ月・男の子
症状の詳細

38度以上の熱を出したときに、幻覚をみるので心配です。寝ていて、うなされ泣いているので、夢を見ているのかと思い起こすのですが、「そこに大きなクモがいる」と枕を指し、怖がっているかと思ったら、泣きだし、笑いだし…。
ある時は、布団からでて、部屋の隅で丸くなって「怖い怖い」と泣いていました。抱きしめて安心させてあげることしかできません。
風邪で熱を出したときやインフルエンザでの発熱と、とにかく熱が高いとうなされ、幻覚をみるようです。脳になにか悪い影響がでているのではないかと心配です。

(こっちゃんママ さん)
  • このエントリーをYahoo!ブックマークに追加
  • はてなブックマークに登録はてなブックマークに登録
  • Buzzurlにブックマーク
  • [clip!]
ユンタ先生からの回答

今回は発熱したときの夜間の行動に関しての質問です。今回の睡眠中の行動からは夜驚症や睡眠時遊行症(夢遊歩行)、悪夢といった睡眠時随伴症、または発熱に伴うせん妄が考えられます。どちらも小学生になる前後に多いものですが、思春期には自然に治まることがほとんどです。症状が著しいときは内服薬を使う場合もありますが、朝にきちんと意識がしっかりしているようならば脳に問題はなく、経過を見ていけば良いと思います。

睡眠時随伴症

睡眠時に発現する認知や行動の異常です。部分的に覚醒していますが、半分寝ている状態になっているために異常な発生や歩行などが見られます。これらの異常行動は中枢神経の未熟性によると言われるため成人に比べて小児で多く、加齢に伴い改善していきます。

夜驚症とは

5〜7歳前後の男児に多く、小児の約1〜3%に起きるとされています。睡眠の前半に起こることが多く、叫んだり怯えたりします。暴れることも多く、周囲を認識できなくなります。この行動は長時間続かず、通常5分程度で終わります。

睡眠時遊行症/夢遊歩行

やはり睡眠の前半に起きることが多いです。主な症状は徘徊ですが、取り乱すような行動をとることもあります。多くは15分以内に終了します。呼びかけなど周囲からの刺激に対する反応は乏しく夜驚症を伴うこともあります。

悪夢

睡眠の後半に出現することが多いです。恐怖・不安から夢にうなされる状態ですが、動き回ることは少ないです。また、夜驚症や睡眠時遊行症は記憶がなかったり、断片的だったりしますが、悪夢の場合ははっきり覚えています。

せん妄

錯乱に錯覚や幻覚と言った精神的興奮が加わった状態です。大きな声をだしたり暴れたりします。夜間に出現することが多く、発熱や手術、呼吸障害と言ったストレスで誘発されることが多いです。

今回の場合

上記のような睡眠時随伴症またはせん妄の可能性が考えられます。現在自宅で行っているような、なだめる、安心させるといった対処で良いと思います。せん妄の程度が著しいときは内服薬を使う場合もありますが、加齢に伴って軽減することが期待できるため経過を見ていけば良いと思います。一晩に何度も症状が出たり、痙攣したりするようなときは、脳波などの検査が必要になるため受診するようにしてください。もし受診するならば、そのときの様子をビデオに撮影しておくと診断の際に有用です。

小児科医ユンタ先生のすこやかカルテの最新号がいち早く読める!
メールアドレス 規約に同意して
トラックバック

トラックバックはまだありません。

この記事に対するTrackBackのURL
コメント
  • コメントはまだありません。
name
E-mail
URL
画像のアルファベット
comment