子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

おたふく風邪の潜伏期間と発症の見極め方は?

お子さんの年齢と性別
0歳8カ月・男の子
症状の詳細

上の子が2週間前におたふく風邪にかかりました。今は、風邪をひいているだけで、耳下は腫れてもなく元気です。1週間後に親戚の集まりがあり、ちょうど潜伏期間が3週間になるので下の子が発病しなければ参加予定ですが…。上の子のかかりつけの先生は、0歳児は症状が軽いので分かりにくいかもとおっしゃっておられました。下の子がおたふくにかかっていないと思って、親戚の集まりに行ってしまったら、他の子どもたちにもうつるのではないかと心配しています。下の子がおたふく風邪にかかっているのか、事前に調べたりとかはできるのでしょうか?また、症状は本当にわからないのでしょうか?よろしくお願い致します。

(なみ さん)
  • このエントリーをYahoo!ブックマークに追加
  • はてなブックマークに登録はてなブックマークに登録
  • Buzzurlにブックマーク
  • [clip!]
ユンタ先生からの回答

おたふく風邪の潜伏期間は14〜24日(ピークは16〜18日)です。通常は、この期間を過ぎて発症しなければ、下のお子さんにおたふく風邪はうつらなかったと考えて良いと思います。しかし、おたふく風邪にかかっているかどうかを確実に確認するためには、血液検査を行う必要があります(詳細後述)。ちなみに、おたふく風邪の場合、30〜40%は不顕(ふけん)性感染(病気にかかっていても症状が出ないことを言います)であり、症状が分からないことがあります。つまり、親御さんの目かみて「下の子はかからなかった」と思っていても、実際はかかっていたという場合があります。

おたふく風邪とは

おたふく風邪とはムンプス(mumps)ウイルスによる感染症で、耳下(じか)腺や顎下(がっか)腺(耳や顎[あご]の下のことです)の腫脹(しゅちょう)と疼痛(とうつう)といった症状を起こします。他人にうつしてしまう期間は意外と長く、耳下腺が腫れる24時間前から始まります。そして耳下腺の腫れが治まっても2日間は他人にうつす可能性があります。

おたふく風邪自体は怖い病気ではないのですが、髄膜炎(ずいまくえん)や精巣炎などの合併症を起こすことがありますし、また妊娠初期におたふく風邪に罹ると流産の可能性があがるため注意が必要です。

おたふく風邪の診断

多くの場合、耳下腺の腫脹などの症状で診断されます。確実に診断するとなるとムンプスウイルスの抗体を調べる必要があります。しかし、この検査は結果が出るまで数日必要です。またおたふく風邪にかかると耳下腺がダメージを受けてアミラーゼという酵素が血液中に増加します。そのため血液や尿のアミラーゼが増加していれば、おたふく風邪にかかった可能性が高いと考えられます (通常の場合、アミラーゼは当日結果がでます)。

今回の場合

おたふく風邪の潜伏期間を考えると、ピークは16〜18日のため3週間経過していればうつらなかったと考えて良いと思います。上記のように検査を行うことはできますが、症状がないお子さんの検査をすることはあまり現実的ではないと思います。インフルエンザの予防はワクチン接種になりますが、これは3種混合ワクチンのような定期接種ではなく、任意接種です。このため、ワクチンを接種する予定がなければ、誰でも遅かれ早かれおたふく風邪にかかる可能性が高いです。

不顕性感染を診断することは困難なので、100%の安全を求めるならば今回は欠席になってしまいます。上記のようなことを勘案して、親戚のお子さんがいずれかかってしまうものと考えることが出来るなら、症状がなければ集まりに行っても良いと思います。ただし妊婦さんがいるときは欠席が良いでしょう。

小児科医ユンタ先生のすこやかカルテの最新号がいち早く読める!
メールアドレス 規約に同意して
トラックバック

トラックバックはまだありません。

この記事に対するTrackBackのURL
コメント
  • コメントはまだありません。
name
E-mail
URL
画像のアルファベット
comment