子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

小学生になってもおねしょが治らない

時期
おもらしはずっとです。幼稚園の頃は1年に数回でした。
お子さんの年齢と性別
7歳10カ月・女の子
症状の詳細

最近上の娘がおねしょを頻繁にするようになりました。今月は1カ月に3回程です。一応、おねしょシーツはしているので下までは漏れませんが、いつも天気が悪い時に限ってするので、家内も激高して怒っております。娘は萎縮(いしゅく)していつも無言で固まっていますが、それで余計に怒られています。見ていて可哀想なので何か良いアドバイスを頂けたらと思います。下に11ヶ月の娘がいます。

(ぴろしき さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は学童期まで続く夜尿症(おねしょ)です。7歳の場合、約10%のお子さんに夜尿症が続いています。生活指導(後述)で改善することも多いのですが、薬物療法などが必要になることがあります。生活指導で改善しないなら、腎臓や膀胱に異常(水腎症や尿道狭窄、過活動膀胱など)があって夜尿症をきたすことがあるので受診して、これらの異常の有無と服薬の適応を確認してもらうことをお勧めします。

夜尿症とは

夜尿症とは、夜間睡眠時の排尿全般のことを指します。いわゆる“おねしょ”です。夜尿症のうち、半年に一回以上の割合で、夜尿症が発生する状態が続くものを「一次性夜尿症」と言い、半年以上夜尿症がない期間があれば、「二次性夜尿症」と言います。


月に1回以上、夜尿症があるお子さんの頻度は3歳で約50%、5歳で約20%、7歳で約10%と年齢を重ねるごとに減少していきます。夜尿症の90%は一次性の夜尿症で、今回はずっと夜尿症が続いているため一次性夜尿症になります。

生活指導ー叱らない、あせらない、起こさない

上記のように腎臓や膀胱の異常、また内分泌疾患でも夜尿になりますが、これらの異常がないときに生活指導が大事になります。生活指導の要点は心理的な配慮と夜間の尿量を減らす工夫の2つに大きく分けられます。


心理的配慮は叱らない、あせらない、ということです。叱ったり、あせったりすることでお子さんが萎縮してしまい、逆効果になります。また、夜中に定期的に起こすことも逆効果になると言われています。


簡単にできる夜間の尿量を減らす工夫は3つです。就寝前に必ずトイレに行って排尿すること、そして夕食後はなるべく水分を摂らないようにすること、そして睡眠時に体を温かくすることの3点です。この3つを行うことで夜間の尿量が減少して夜尿症になりにくくなります。


もう一工夫として「褒める」があります。夜尿症で失敗してしまったことを叱るのではなく、失敗しなかったことを褒めてあげることです。失敗しなかった朝はカレンダーに丸をつけたり好きなシールを貼ったりすることも良いと思います。また、簡単なご褒美を用意しても良いでしょう(高価なものを買う必要はありません。カレンダーに貼るシールを選べる、いつもより遊びに付き合う時間を長くしてあげる、ドライブの行き先を決められるなどで良いです)。

生活指導以外の治療

主に内服による治療と夜尿アラームによる治療があります。内服は抗利尿ホルモン(尿量を少なくする薬です)や三環系抗うつ薬(尿意を感じて起きやすくなったり、尿量が減少したりする効果があります)。夜尿アラームは下着や布団に付けて使用します。夜尿があるとアラームが感知してその直後にアラームが鳴り覚醒させるものです。


また、検査で異常が見つかればその治療を行います。

今回の場合

まず家庭では叱らないことを実践しましょう。からかうことも萎縮につながり、良くありません。このことを家族の了解事項にしてください。そして7歳ならば、10%のお子さんに夜尿症があります。年齢を重ねると自然に改善することも多いので、あせらないことを心がけてください。

家庭では上記の生活指導を始めてみてはいかがでしょうか。特に失敗したことを叱るのではなくて、成功したことを褒めるようにするとうまくいくことが多いです。それでも夜尿症が続くときは受診をして腎臓や膀胱などに異常がないか確認してもらって下さい。

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