子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

スイミングの後、唇が妙に青い息子…大丈夫?

お子さんの年齢と性別
4歳10カ月・男の子
症状の詳細

スイミングスクールに通っていますがいつも震えて唇が青くなって戻って来ます。お友達は血色良く戻ってくるので心配です。主人は中学生の時心臓(心房中隔欠損)の手術をしていて、やはり子供の頃に水泳をすると、唇の色が悪かったと聞いてます。遺伝してたらと思うと心配でなりません。

(ちまりす さん)
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ユンタ先生からの回答

確かに心疾患で唇が紫色になることはあるのですが、プールのような寒い環境だけで唇が紫色になるならば、それは正常な反応ですし、(紫になる、ならないは)個人差もあります。従って、スイミングときだけ唇が紫になるならば、そのまま経過観察でよいと思います。

唇が紫色になる原因

体に供給される酸素が少ないと、血液の中の酸素の量が減少します。血液の中の酸素が減少すると、唇、爪の色が紫に変色します。この状態を「チアノーゼ」と言います。これは心臓や肺の病気でおきます。

ただし、病気にならなくとも、寒い時は血管が収縮するため、血液の循環が悪くなります。その結果として、チアノーゼのように紫色に見えることがあります。

心疾患とチアノーゼ

血液に含まれている酸素が多いと血液は明るい赤になり、酸素が少ない血液は、暗い赤に見えます。大動脈から全身に流れる血液(動脈血)は酸素を多く含むので明るい赤に見え、全身を巡って心臓に戻ってくる血液(静脈血)は酸素が少ない血液で暗い赤に見えます。

動脈血に静脈血が混ざって全身に流れる心疾患の場合、体に流れていく血液の酸素の量が減ってしまうためチアノーゼを起こします。ファロー四徴症(しちょうしょう)などが代表的な心疾患です。

逆に静脈血に動脈血が混ざる心疾患の場合、全身に流れる血液の酸素の量は減らないためチアノーゼは出ません。心房中隔欠損や心室中隔欠損などが代表的な疾患です。

心房中隔欠損は最も多い先天性心疾患の一つです。父親に心疾患があるため、お子さんに心疾患が出るリスクは少々高くなりますが、遺伝するというものではありません。また、先天性心疾患の多くは、心雑音などによって乳幼児期に診断されていることが多いです。

今回の場合

寒いときに唇が紫色になることは、血管の収縮による正常な反応です。体が大きかったり、脂肪があったりすると体温を保持しやすくなり、その分血管収縮しないため、唇の色も良くなります。個人差があるので、体格が異なるお子さんと直接比較することは必要ないと思います。

唇が紫色になることが水泳以外で見られないならば、気にすることはないと思います。心臓に関しては検診や風邪などで受診するときにしっかり聴診してもらうことで十分だと思います。

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