子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

陰部の発毛と思春期早発症に関する相談です。陰毛以外の二次性徴がなければ、問題ないことがほとんどです。しかし、８歳という年齢で精巣の腫大や、(うぶ毛ではない)陰毛の発生、腋（わき）毛の発生などがあるようでしたら、思春期早発症を疑う必要があります。確認のためにも一度受診することをお勧めします。

また、抑毛豆乳ローションに関しては医薬品でなく、評価できません。皮膚にアレルギーなどを起こさないならばローションを使っても良いとは思いますが、効果を約束するものではありません。

思春期早発症

思春期早発症とは、一般に男子では９歳未満で、二次性徴が出てくることを指します(女子の場合は８歳未満)。その原因としては大きく３つに分けられます。

（１）中枢性思春期早発症(真正思春期早発症)、（２）末梢性思春期早発症(偽性思春期早発症、仮性思春期早発症)、（３）部分的思春期早発症です。

（１）中枢性思春期早発症は性ホルモンの分泌を司る視床下部から下垂体、性線の経路が活性化して性ホルモンの分泌が増加しているために起きます。原因不明のことも多く、また脳腫瘍などが原因となることもあります。

（２）末梢性思春期早発症はやはり二次性徴が出るのですが、上記の視床下部から下垂体、性線の正常な経路の活性化以外の原因で起こります。副腎や卵巣の腫瘍などが原因となることがあります。

（３）部分的思春期早発症は早期の乳房発育や恥毛の発現があり、その他の二次性徴を伴わないものです。

上記３つのうち、（１）と（２）は治療を考えたほうがいいですが、（３）は基本的に治療の必要がありません。従って、まずは上記３つのうちの、どれに該当するかの鑑別が必要になります。

今回の場合

陰毛がうぶ毛ならばそのまま経過観察で問題ないと思います。

通常の陰毛が出現しているならば上記のような思春期早発症なのかどうかを確認する必要があります。部分的思春期早発症ならばそのまま経過観察で良いと思いますが、陰茎（いんけい）や陰嚢（いんのう）の発育があるのか、その他の二次性徴はあるのかなどを確認する必要があります。

抑毛豆乳ローションに関しては、効果に関して回答することができません。試してみても良いとは思いますが、肌との相性もあるため慎重に使用するようにしてください。