子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

首筋に複数のしこりが…

時期
1歳4カ月くらい
お子さんの年齢と性別
1歳10カ月・女の子
症状の詳細

首筋(耳の下)に1センチ大が1つに小豆ぐらいのものが4つ、今年(2010年)の3月頃にしこりがあるのを見つけました。最近、うなじと耳の後ろの左右均等な辺りに1つずつ、4つのしこりが増えたのを新たに見つけました。春からずっと耳鼻科に通院中で、間で中耳炎にもかかっています。耳鼻科の先生の話では、子どもはリンパ節をよく腫らすので心配はないでしょうとの事でしたが、もし悪性だとしても、それは普段の生活で交通事故に遭うようなものだと、余計に不安が増す話をされました。切開して取り出さないと分からないということですが、何か検査する方法はないのでしょうか?もし手術となったら、全身麻酔のリスクも気になっています。でも、しこりがどんどん増えているので心配です。頻繁で長時間ということではありませんが、時々、耳を指差して痛いと訴えることがあります。最初にしこりを見つけてからもうすぐ半年になりますが、まだ経過観察でもいいのでしょうか?

(みかん姫 さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は首のしこりに関する質問で、これはリンパ節を触っているものだと考えられます。首には多数のリンパ節があり、1cm程度までは通常サイズと考えられます。首という局所のリンパ節だけが腫脹している場合の多くは感染(細菌またはウイルス)に伴うもので、通常経過観察だけで問題ありません。中耳炎などの感染が断続的にあるならば、その感染に伴うものの可能性が高いと思われます。
切開して取り出す(生検)必要性は低そうですが、リンパ節腫脹の原因検索の一環として血液検査を考えても良いでしょう(負担が少ないため)。

リンパ節とは

リンパ節は全身にあり、体の免疫機能を担当します。リンパ節の周辺組織が感染を起こすと反応して腫大します。また、小児では頚部、腋窩(えきか=脇の下)、鼡径部(そけいぶ=股の付け根)などでリンパ節を触れることが多いです。頚部のリンパ節では1cm程度までは正常範囲の大きさです。
一般に正常のリンパ節は弾力があり、くりくりと動かすことができ、表面はつるつるしています。

どんなときに頸部リンパ節は大きくなるの?

小児の場合、もともと頚部のリンパ節は触れることが出来る場合が多いです。特に幼児期から小学校低学年では5−10mm程度のリンパ節が数珠のように触れることがあります。このような小児では扁桃肥大を伴っていることが多いです。
また伝染性単核球症(ウイルス感染です)やサイトメガロウイルス感染などでもリンパ節が腫脹します。その他にも急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫といった悪性疾患でもリンパ節が腫脹することがあります。

検査と症状

リンパ節が腫脹(しゅちょう=腫れあがること)している場合、まずは血液検査や超音波(エコー)検査などが行われます。
伝染性単核球症やサイトメガロウイルスの場合はウイルスの抗体を調べます。白血病の場合も血液検査でおおよその診断がつく場合が多いのですが、最終診断のためには骨髄の検査が必要になります。悪性リンパ腫の場合は最終診断としてリンパ節の生検が行われます。
また、原因の疾患によってことなりますが発熱や貧血、体重減少、発汗増加などの症状を伴うことがあります。

今回の場合

リンパ節の腫脹がありますが、大きさとしては正常範囲の可能性が高いと思われます。上記のような症状があるかどうかの確認をするとよいでしょう。
また上記の疾患のなかで生検が必要な悪性リンパ腫は白血病よりも可能性が低いものです。このためいきなり生検を考えるよりも、まずは血液検査で可能性の高いものを先に検索してみるのが良いと思います。

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