子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

おしりをかゆがり寝付けない長男

時期
半年ほど前
お子さんの年齢と性別
4歳11カ月・男の子
症状の詳細

もうすぐ5歳になる長男が、夜寝る時にお尻を痒がります。いつも寝付くまで、主人や私がお尻をかいたりさすったりしていますが、ちょっと手を止めると「まだかゆい!ずっとかいてて!」とグズります。ずっと痒がってなかなか寝られず、寝付くまで1時間くらいかかる事もあります。トイレの時に拭き残しでもあるのかとも思い、トイレの後もお風呂でも、清潔にするよう心がけていますが、特に何かができているわけでも、赤くなっているわけでもありません。また、痒がるのは寝るときだけで、昼間はまったく問題なく過ごしています。小児科の先生にも診てもらいましたが、特におかしいところはないとの診断で、念の為ギョウチュウ検査もしましたが問題ありませんでした。、かゆみどめの飲み薬と塗り薬を処方されましたが、使ってみても効果はありませんでした。「何か精神的なものなのかも」とも思い、できるだけ付き合うようにしてはいるのですが、もう半年ほども続いているので参っています…。精神的なものだとしたら、どういう対応をしていったらいいでしょうか?

(さと さん)
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ユンタ先生からの回答

前回に引き続き、今回も睡眠に関する質問です。
毎晩お尻を掻いてあげることは、さぞかし大変かと思います。
「昼間は痒くないのに、夜になるとお尻を痒がって寝付けない」というのは、「痒み」よりもむしろ「ある行動が無ければ寝付けない」ということに着目したほうがいいかもしれません。一般的に言っても、実際に哺乳や揺さぶられる、背中をさするなどの特定の状態(今回の場合はお尻を掻く)がないと入眠できない方がいます。
このような状況は、専門用語で言うと「行動性睡眠障害」に含まれる「入眠時随伴障害」の可能性があると考えられます。このような状況の場合は、親御さんの入眠補助をやめることに対するご褒美を導入するなどの行動療法で、少しずつ自分で寝付く能力を育てるようにしたほうがいいです。

入眠時随伴障害とは

入眠時随伴障害があると、揺さぶられる、背中をさすってもらう、などのような特定の状態のもとでのみ眠りに就くようになり、自力で寝付く能力が未熟になります。このようなお子さんの場合、夜中に目覚めたときに再度同じ状況(背中をさするなど)がないと再び眠りにつけないことがあります。結果的に親子ともども睡眠不足の状況に陥ることがしばしばあります。

入眠時随伴障害に対する対処法

対処方法としては、入眠に対する親の補助を止めたり短縮したりすることができたらご褒美をあげる、という方法があります。このご褒美も、おもちゃを買うといったお金のかかるものでなく、カレンダーにシールを貼る、おやつを選べるようにすると言ったささやかなもので良いと思います。自力で寝付くことに対する、本人のやる気を起こさせるのがポイントになります。
睡眠の関連付け(今回はお尻を掻く)を毛布やおもちゃなどに対象を以降することが有効な場合もあります。その他、(お尻を掻く時間や速さなどを)段階的に減量する方法もあります。
もちろんこれらの方法を組み合わせても良いと思います。
これらの方法の注意点として、一時的に要求行動(泣く、騒ぐなど)が強く出ることがあります。前もって心の準備をしてください。

今回の場合

すでに受診しているため、皮膚やギョウチュウなど体の問題はないものと考えます。上記のように入眠時随伴障害が疑われます。ご褒美など本人のモチベーションを高める方法を工夫してみてはいかがでしょうか。ゴールは自力で寝付く、です。
また幼稚園(または保育園)のお昼寝の時間はいかがでしょうか。その時はお尻を痒がらないようでしたら、その時の様子を聞いて夜の参考にならないか確認してもよいと思います。
その他一般的な睡眠に対する基本事項として、就寝時間を決める、幼稚園(または保育園)のある日とない日の就寝時間を同じくらいになるようにする、就寝の1時間前はなるべく静かに過ごす、といったことがあります。短期間ではなかなかうまくいかないと思いますので根気よく続けてみてください。

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