子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンについて

お子さんの年齢と性別
4歳11カ月・女の子
症状の詳細

ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンについての質問です。うちの娘はもうすぐ5才なのですが、今からでも打った方がよいのでしょうか。今更…、という感じでしょうか。ちなみに日本脳炎の予防接種もまだしていません。

(hiyomama さん)
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ユンタ先生からの回答

今回はヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンに関する質問です。ヒブワクチンは5歳未満、肺炎球菌ワクチンは9歳未満が接種年齢です。ヒブワクチンはともかく、肺炎球菌ワクチンは今からでも接種することをお勧めします。また、日本脳炎の予防接種もしたほうがよいでしょう。

小児の髄膜炎

小児の髄膜炎は1歳未満のお子さんが約半数を占め、その原因となる菌はインフルエンザ菌と肺炎球菌で8割前後になります。それ以外は、溶連菌や大腸菌がありますが割合はわずかです。
多くの発症は5歳未満ですが、肺炎球菌が原因の髄膜炎は5歳以上でも発症することがあります。
しかしながら、ここで知っておいて欲しい最も重要なことは、小児の髄膜炎は、年齢や細菌に関係なく重症になるということ。さらに重篤な後遺症が残る場合もあるし、死亡するケースもある。その認識をしっかりして、予防することが大切になります。

ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチン

上記のインフルエンザ菌に対するワクチンがヒブワクチンになります。インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)はさらにいくつかの型(type)があります。インフルエンザ菌による重症な感染症(髄膜炎や敗血症、関節炎など)のほとんどがtype bと呼ばれる型が原因です。
ヒブワクチンはインフルエンザ菌のb型(Haemophilus influenza type b)に対するワクチンのため、Hibワクチンと呼ばれます。
ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種により、アメリカではインフルエンザ菌による重症感染症が99%、肺炎球菌による重症感染症が98%減少しています。
また、ヒブワクチンは5歳まで、肺炎球菌ワクチンは9歳までが接種年齢です。ワクチン接種による副反応は発熱や接種部位の腫脹など一般的なものが大半で他のワクチンとほとんど同様なものです。

今回の場合

インフルエンザ菌による髄膜炎はほとんどが5歳未満のため、ヒブワクチンは見送っても問題ないかと思います(接種して悪いわけではありません)。しかし、肺炎球菌による髄膜炎は5歳以上でも見られるため、肺炎球菌ワクチンは接種したほうが良いでしょう。
今回は説明を省略していますが、日本脳炎も感染すると重症になってしまうためワクチンの接種をお勧めします。


※3月2日以降、小児肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンを含む、ワクチンの同時接種後の死亡例が報告され、ワクチン接種との因果関係は不明ながら小児肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの接種が一時見合わせになっていましたが、3月24日にとりまとめられた薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会及び子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会「小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの安全性の評価結果について」を踏まえ、4月1日から接種が再開されています。

詳細は厚労省のHPをご参照ください。

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