子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

今回は汗の多いお子さんに関する質問です。子供は大人に比べて汗が多いですが、日常で問題になることは少ないです。しかし、一部のお子さんの中には、顔面、頭部、掌蹠(しょうせき：手のひらと足の裏のことです)の発汗が多く、日常生活に支障を来たす場合もあります。しかしながら、そのような場合でも、成長とともに軽快することが多いので、今のところは経過を観察していけばよいでしょう。

掌蹠多汗症とは

多汗症の場合、手足や頭部などの局所に汗が多いのですが、その原因は良く分かっていません。多汗症のうち、温熱やストレスなどによって手足や頭部に多量の発汗があり、日常生活に支障を来すものを掌蹠多汗症と言います。小児期から思春期に発症することが多く、成長とともに軽快することが多いとされています。
治療は自律神経系に作用する薬や精神を安定させる薬を用いることがあります。また、塩化アルミニウムの外用やイオントフォレーシス療法(手や足に通電することで発汗を抑制する治療です)などが行われています。

その他に発汗過多を来す疾患

感染症や甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、循環器疾患などで全身性の発汗過多を来します。その他には末梢神経障害や不安障害などでも発汗過多を来すことがあります。
汗の掻き方が片側性だったり非対称性だったりするときは詳しい検査が必要になることもあります。

今回の場合

汗の量は多いかもしれませんが、他のお子さんが汗を掻いているときに同じように汗を掻いているようです。日常生活に支障が出るようでしたら皮膚科で相談されることをお勧めしますが、そこまででないようでしたら成長とともに汗の出方は少なくなることが多いので経過を見ていけば良いと思われます。