子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

学校でのみ、おもらしをする息子

お子さんの年齢と性別
10歳・男の子
症状の詳細

小学5年生の男の子です。大きいほうのおもらしを学校でします。トイレにはいくのですが、間に合わないそうです。担任からは、「腸に何かあるのでは?病院にいかれては」といわれています。病気があるのでしょうか? 家ではおもらしはありません。

(まめた さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は排便に関する質問です。これは遺糞症と呼ばれるもので、慢性的な便秘や心理的ストレスが原因かと思います。一般的には慢性的な便秘が主な原因となっていますので、まずは便秘の有無を確認するために一度受診してみることをお勧めします。

遺糞症とは

排便は3〜4歳で約70%のお子さんが自立します。そして5〜6歳になると96%のお子さんがトイレで排便できるようになります。
遺糞症とは4歳以降に不適切な場所(日本ならトイレ以外です)で排便してしまうことを指します。遺糞症は便秘を伴うものと便秘を伴わないものの二つに大きく分けることができますが、多くの場合、便秘を伴うパターンです。

便秘と遺糞症

便秘を伴っていると、腸(とくに直腸)に便が停滞することになります。その結果、直腸が常に伸びてしまい排便反射が弱くなり便意を感じにくくなります。停滞した便と腸の隙間を通って便自体は出るのですが、便意を感じにくくなっているので遺糞症を起こしやすくなります。このなかには肛門括約筋(肛門を締める筋肉です)の機能が低下している場合もあります。このような場合、便秘を取り除くことで多くは軽快します。
よくある誤解に"毎日便が出ているので便秘ではない"というものがあります。上記のように宿便が残っていても隙間を通って便が出てくるので注意が必要です。
その他一度トイレトレーニングが終了してからの遺糞症は心理的な要因が関与していることがあるのでその点の確認も必要になります。

今回の場合

学校でだけ大便のお漏らしをしてしまうと言うことなので、便意を感じてから排便までの時間が短いことと肛門を締める力が弱いことが推測されます。どちらも上記のような便秘に関連する可能性が考えられます。
しかしながら、学校でだけ便のお漏らしがあるので、心理的な要因が関与している可能性もあります。従って、便秘の有無などを確認することを第一とし、次に心理的な要因を考えてみてはどうでしょうか。

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