子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

肺炎球菌の予防接種を受けたほうがいいのでしょうか

時期
今年
お子さんの年齢と性別
5歳10カ月・男の子
症状の詳細

4歳のとき予防接種が原因で髄膜炎にかかりました。今、気管支喘息でステロイドを吸入しています。肺炎球菌の予防接種を考えていますが、受けたほうがよいのでしょうか。

(まちゃこ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は予防接種に関する質問です。
喘息のあるお子さんは、感染をきっかけに喘息発作を起こすことがあるので一般に予防接種をしたほうが良いでしょう。
ワクチンによる副反応の不安もあるかとは思いますが、肺炎球菌も感染すると肺炎などの呼吸器感染症だけでなく、髄膜炎など重症になることもあるので、できれば予防接種を受けたほうがメリットは大きいと思います。

肺炎球菌感染症

肺炎球菌に感染すると肺炎や中耳炎、髄膜炎と言った感染症を発症することがあります。そしてインフルエンザ菌と並んで、肺炎球菌は髄膜炎の2大原因の一つです(細菌性髄膜炎の約6割がインフルエンザ菌、約3割の原因が肺炎球菌です)。これらの細菌性髄膜炎の約半数は2歳以下で、発症するお子さんの多くは5歳以下です。
しかし、肺炎球菌による髄膜炎は5歳以上(8歳、9歳など)でも発症することがあり、注意が必要です。また、髄膜炎を発症しますと予後も悪く、肺炎球菌による髄膜炎に感染すると約1/3のお子さんは後遺症を残すか、場合によっては亡くなってしまうことがあります。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンは、9歳以下のお子さんが対象になります。生後2カ月以上、7ヶ月未満のお子さんは初回免疫として3回接種し、1歳を過ぎた時に追加免疫として1回(初回3回、追加1回の合計4回接種)が基本の接種スケジュールになります。
接種開始時の年齢が上がるとワクチンの接種回数が減っていきます。生後7カ月から1歳未満のお子さんは合計3回、1歳から2歳未満のお子さんは合計2回、今回のように2歳以上9歳未満のお子さんは1回接種で終了になります。
肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による重症感染者数は98%減少しています。このことからもワクチンは有効で、現在では世界で広く接種されるようになっています。
ワクチンの副反応に関しても、接種部位の発赤腫脹(ほっせきしゅちょう)が主で(7-8割前後)、発熱や傾眠、不機嫌なども見られますが(2割前後)、いずれも軽度なもので自然軽快します。

今回の場合

喘息の既往があるお子さんは、ウイルスや細菌に感染すると喘息が悪化することがあります。普段の日常生活で風邪も引かないなど、感染することをゼロにすることは難しいのですが、予防できるものは予防したほうが良いと考えます。一方で年齢が上がって肺炎球菌による髄膜炎自体のリスクも下がっていくため接種するかどうか悩ましいと思います。
4歳の時に接種したワクチンとその時の経過が分からないので、断定的なことは言えませんが、ワクチンにより髄膜炎の予防ができ、ワクチン自体の副反応は軽症なことが多いのでできれば接種することをお勧めします。

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