子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

軟口蓋裂で手術をした娘。今後のことや合併症などが心配です。

時期
10カ月程前
お子さんの年齢と性別
2歳4カ月・女の子
症状の詳細

1歳11カ月の時に軟口蓋裂がみつかり2歳で手術しました。鼻もれや中耳炎は産まれてからありました。何かおかしいと感じてはいたので軟口蓋裂と聞いた時も驚きはなかったのですが、突然診断されて手術をして、とても慌ただしく過ぎ去ったので、どのような病気なのか、これからどんな過程で診察をしていくのか、いまいちわかっていなくて…。担当の医師は口腔外科なので口腔内以外の事は聞きづらく、図書館で調べると口蓋裂の子供は別の合併症を持っている事があると載っていましたが、それは血液などを調べなくても外見などでわかるのでしょうか?新生児後すぐに調べる先天性の病気はなかったです。冬になって朝寒い時など掌や唇が紫色にかわります。この症状は別の合併症っていう可能性はありますか?よろしくお願いします。

(りりぃ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は軟口蓋裂に関する質問です。口蓋裂では、先天的に心疾患や小顎症を伴うことがあります。また顔貌に異常を認めるとき(例えば、耳の高さや目の間隔など)は、単純な口蓋裂だけでなく別の症候群も考える必要があります。外見で分かるものもありますが、心疾患などは超音波検査が必要になります。耳や発音の問題が出ることもあるので、歯科口腔外科だけでなく耳鼻科や小児科なども合わせて受診されることをお勧めします。

口蓋裂とは

口蓋とは、口の中のアーチを形成する上の壁で口の中で舌を丸めた時に、舌の先が当たる部分になります。この部分が形成不全により裂け目があるものを口蓋裂と言います。また、唇に裂け目があると口唇裂と言います。口唇口蓋裂は比較的多く、日本では全出生数の0.2%に見られます。
口蓋裂・口唇裂があると哺乳や食事がうまくできないことがあり、乳児期は特殊な哺乳用の乳首が必要になることがあります。また、ホッツ床という口蓋を閉鎖するプレートを装着します。

口蓋裂の合併症

口唇裂は3カ月程度、口蓋裂は1歳ごろに閉鎖術が行われることが多いのですが、各々の状況により手術時期が変わることも多いです。
口唇口蓋裂があると、小顎症(顎が小さいことです)や心室中隔欠損(心臓の左心室と右心室の間の壁に穴があいているものです)の合併を伴うこともあります。心室中隔欠損は聴診で分かることもありますが、確認のためには心臓の超音波検査が必要になります。また中耳炎や中耳炎を繰り返すことによる難聴もあり注意が必要です。
このような問題がなくても口蓋裂があると発音に問題が出ることがあり言語療法が必要になることもあります。

今回の場合

口唇口蓋裂のお子さんの場合、上記のように歯科口腔外科だけでなく、耳鼻科や小児科、言語療法士など様々な職種が連携を取る必要があります。歯科口腔外科の担当医に聞きにくいようでしたら、かかりつけの耳鼻科や小児科に相談されることをお勧めします。
また寒い日に手や唇が紫色になっても、それだけでは異常とは断定できません。しかし、心疾患などがないかどうかは確認しても良いと思います。この点でも掛かり付け(この場合は小児科が良いでしょう)に相談されることをお勧めします。
また口唇口蓋裂では診療ガイドラインがあります(下記)。ページ数は多いですが参考になるかと思います。
口唇裂・口蓋裂診療ガイドライン

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