子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

喘息を予防することはできるのでしょうか?

時期
昨年11月頃から
お子さんの年齢と性別
3歳9カ月・男の子
症状の詳細

昨年11月頃から、熱はないが鼻水→咳の風邪が多く、咳になるといつも1週間は治らずひどくなります。母親の私がチアノーゼを起こすほどひどい小児喘息でした。息子は喘息や喘息様気管支炎になったことはありませんが、ここ数カ月で咳の風邪が多くなり、治りが遅いように感じます。1度だけ深夜寝ているとき(熱はなく鼻水と咳のみ)に、1回息を吐いたときにヒューンと聞こえました。小児科の先生は、RSウイルスかもしれないが今聞こえないからわからない、とのことでした。もし喘息になると、発作が治まっても気管支が傷ついていて治療しないと治らないと育児書で読みましたが、風邪の度に気管支が傷ついて、いつか喘息を発症することはあるのでしょうか?
小児科では、喘鳴は聞こえず咳き込むので、ネブライザー(メプチンとインタール)をして頂いたら治まったようです。発症前にできる対処法はありますでしょうか?小児科の先生や3歳児検診の先生方は、なってから考えればいいとのお答えでしたが、なにかその前にできることはありますでしょうか。

(りんといまま さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は喘息発症前に関する質問です。喘息とは発作時に喘鳴(ヒューヒュー、ピーピーというような呼吸音)を伴う、呼吸困難を来す疾患です。RSウイルスによる細気管支炎のように、喘息と関連する感染症があることはわかっています。しかしながら、ご質問にある「風邪を繰り返すといつか喘息になるのか」ということは今の段階では分かっていません。なぜ喘息になるのか不明な点が多く、このため喘息にならないように予防するということは難しいです。
しかし喘息の早期発見と早期介入は有効です。
どのような時に喘鳴や咳嗽(がいそう:一般的に「咳」のこと)が出るのか注意して観察してください。また念のためダニやカビ、ペットのフケ、タバコの煙などを避けたほうが安全だと思われます。

喘息と気道リモデリング

喘息では、気道の可逆性の狭窄と持続慢性炎症、リモデリング(後述)と呼ばれる変化があり、気道過敏性を認めます。気道では好酸球やマスト細胞、リンパ球の活性化が起こり、気道粘膜が障害されています。これが気道の慢性炎症となります。またリモデリングとは、気道を構成する組織の変化を意味し、粘膜の腫脹や平滑筋の肥大などを起こしています。
上記のような気道炎症とリモデリングがあると、様々な刺激で喘息患者は敏感に反応して喘息発作を起こします(このことを気道過敏性と言います)。

喘息管理と長期的な目標

年に数回発作が出る程度なら、その時に発作に応じて治療(吸入など)をすれば良いのですが、喘鳴や咳が毎月出るようならば、喘息予防のために内服または吸入を日常的に行う必要があります。喘息がある場合、長期的な目標は症状なく日常生活を送れるようになることです。
最終的な目標はもちろん予防薬の終了です。乳幼児期に喘息があっても6歳までには60%の方で喘鳴が出なくなるので、喘息と診断されたらしっかり予防を心がけましょう。

今回の場合

感染の繰り返しと喘息の関連はまだ良く分かっていません。喘息の予防自体は難しいのですが、早期診断と早期介入は有効です。自宅では喘鳴が出てしまうかどうかを観察してください。これは風邪などの感染のときだけでなくタバコやたき火の煙、気圧の変化、運動した時、冷気を吸いこんだときに咳き込みや喘鳴が出ないかを観察することを含みます。このようなことがあるならば、喘息の可能性を考えもう一度主治医の先生と相談してください。

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