子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

アトピー治療中の娘が決まった時間にかゆみを訴えます

時期
最近
お子さんの年齢と性別
5歳9カ月・女の子
症状の詳細

昨年11月から漢方でアトピーを治そうと脱ステロイドを始めました。
しかし春先になって悪化し、皮膚も硬化し黒くなってしまった為、今は皮膚科で抗アレルギー剤とステロイドで治療中です。
ここ1カ月、だいたい決まった時間(夜11時と朝方)にかゆみを訴え、小1時間寝られない毎日です。抗アレルギー剤を飲んでも同様です。
寝ぼけて無意識のうちに掻いている様子もあり、気分を切り替えてもらおうと目を覚まさせようとしても、「やだやだ!!」の連発です。
朝まで通してしっかり眠るには眠剤等も検討した方が良いのでしょうか?
子供には良くないですか?

(けい さん)
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ユンタ先生からの回答

今回はアトピー性皮膚炎の痒みに関する質問です。
現在、抗アレルギー剤を内服中ですが、痒みのコントロールが不十分なようです。眠剤自体はあまりお勧めできませんし、まずは現在の抗アレルギー剤の検討を先に行ったほうが良いと思います。寝る前に抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を追加で服用する方法もあるので、主治医と相談されることをお勧めします。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは痒みのある湿疹を主病変とする疾患で、患者の多くの方はアトピー素因があります。アトピー素因とは、喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性角結膜炎、アトピー性皮膚炎の既往や家族歴があったり、血液検査でIgEの値が高くなったりする方を指します。
典型的な皮疹の出現場所は、首・脇の下・肘・手首・膝・足首などです。皮膚の痒みに伴い、睡眠障害や掻き壊しなどを起こすこともあります。

薬物療法に関して

アトピー性皮膚炎の治療の基本は、原因・悪化因子への対策、スキンケア、薬物療法に大きく分けられます。
原因・悪化因子は、ダニやホコリ、ペット、細菌や真菌、汗や乾燥、衣服や洗剤などの物理的な刺激など様々で、人によって異なります。
スキンケアの基本は、皮膚の清潔と保湿です。シャワーや入浴は積極的に行って下さい。入浴をすると皮膚に水分が蓄えられますが、アトピー性皮膚炎の方では15分もすると入浴前の状態に戻ってしまいます。このため、入浴後は出来るだけ早めにスキンケアの軟膏などを使って下さい。
薬物療法は、外用薬、内服薬に分けることが出来ます。外用薬は皮膚の程度や年齢に合わせてステロイドの使い分けが行われます。また、タクロリムス軟膏という免疫抑制外用薬もあり、ステロイド軟膏の効果が不十分な場合に処方されることもあります。ちなみに軟膏使用量の目安として、成人の人差し指先第一関節に乗る軟膏量というものがあります(finger-tip unit: FTUと省略されます)。この軟膏量で成人の両手掌面積分がカバーできるとされています。内服薬も、抗ヒスタミン、抗アレルギー剤と呼ばれるものが軟膏に併用されます。様々な種類があり、同じ薬でも人によって効果に差があります。一般的に、2週間程度を一つの目安にして効果判定が行われます。薬剤によっては眠気やふらつき、倦怠感などが出ることもあります(副反応である眠気を利用して、眠前に服用することもあります)。

今回の場合

すでに皮膚科を受診され、抗アレルギー剤も処方されているようですが、人によって効果に差があります。痒みのコントロールが不十分なら、薬剤の変更や現在の処方に加えて夜にもう一剤追加するような方法もあるので、主治医と相談することをお勧めします。温まると痒みは強くなるので、布団のかけ過ぎや衣類の着すぎなどがないか、もう一度確認してみてください。
まだ5歳であり、寝かせるための眠剤自体はあまりお勧めできません。

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