子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

身長を伸びないようにする方法はないでしょうか?

時期
小学5年生
お子さんの年齢と性別
12歳6カ月・男の子
症状の詳細

中学1年生の息子の身長が173cmあります。本人は大変なコンプレックスを抱き悩んでいます。息子の悩みは痛いほど分かるので、なんとかしてやりたいです。これ以上身長が伸びないようにする方法はないでしょうか?

(きこ さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は身長が高いことによる悩みです。
家族性の高身長などでは、ホルモン療法で骨端線(こったんせん)の閉鎖を促して身長の伸びを抑える方法があります(骨端線が閉じてしまったあとはもう身長は伸びません)。その前に成長ホルモンの分泌異常や染色体異常など稀ではありますが隠れた疾患がないことは確認する必要があります。小児内分泌の外来で相談することが必要になりますが、同時に心理的なケアや高い身長を活かすことも一緒に考えてあげてください。

高身長

12歳6カ月の男児の標準身長は152.9cm(標準偏差8.1cm)です。
今回の場合、すでに173cmの身長があり、標準偏差の2倍以上の身長で高身長と呼ばれるものです。多くの場合は家族性や特別な疾患のない体質的な高身長です。
その他の高身長の原因としては、下垂体疾患による成長ホルモンの過剰産生や甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、思春期早発症(身長が早期に伸びなくなるので最終的な身長は高くなりませんが、伸び始めの時期が早いので初期は高身長になることがあります)などがあります。まれな疾患としてはクラインフェルター症候群やマルファン症候群などもあげることが出来ます。

高身長の治療

将来の身長の予測をするために、レントゲンによる骨年齢が有用になります。また必要に応じて内分泌学的な検査が行われます。そして治療が必要なもともとの疾患がある場合は、その治療を行います。
極端な高身長の場合はホルモン療法で治療を行うこともありますが、血栓や高血圧、脂質代謝などの副反応の問題もあり、その適応は限られており広く行われているものではありません。この治療では骨が伸びる部分の成長を抑える(骨端線の閉鎖を促す)ものなので、思春期の後期になってしまってからでは効果は乏しいです。

今回の場合

今回は現時点で高身長です。身長を伸びないようにする方法は上述のようにありますが、副反応の問題も含め使用は限られています。今後の身長の予測や隠れた疾患の有無などの確認のため一度小児内分泌の外来を受診して相談することをお勧めします。現在のコンプレックスも将来の予測を知ることで心理的なサポートがしやすくなると思います。
そして日本では高身長に対する社会的な受け入れは良いと私は思います。高身長を活かした生活を積極的に考えることもコンプレックス解決の一つの手段になると思います。

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