子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

ステロイドの注射、幼い娘に打っても大丈夫?

お子さんの年齢と性別
9歳4カ月・女の子
症状の詳細

3カ月程前から足首が痛いと言いだしました。初めは、学校で捻った左足が痛いといっていたので、湿布を貼って整形外科に連れて行きました。その後、何度か治る、捻るの繰り返しでしたが、今度は右足も捻ったといいました。もう一度整形へ連れて行くと、捻挫か成長痛か判断できないので、このまま様子を見て下さいといわれました。
1週間程前から、朝起きると「歩けない」といいだし、整形外科に連れて行くと「アキレス腱が炎症を起こしています。もし痛みが続くようなら、ステロイドを注射します」といわれました。ステロイドは副作用があると聞きます。幼い娘にステロイドの注射をしても大丈夫なのでしょうか?

(しりうす さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は関節の痛みとステロイドに関する質問です。アキレス腱炎の場合、局所へのステロイド注入(注射)が有効です。ステロイドは副作用もあり、投与量や投与期間は慎重に考える必要がありますが、反面、効果が高い薬でもあります。使用方法さえきちんとしていれば、有効な薬剤です。効果判定や投与期間の目安などを主治医の先生によく説明してもらって、使用するかどうかを決めれば良いと思います。

アキレス腱炎

アキレス腱周囲が、踵(かかと)の骨と靴のフチで慢性的な刺激を受け、炎症を起こすことで発症します。この結果、アキレス腱周囲の滑液包(かつえきほう)という物質が厚くなり、痛みが出ます。長距離走やマラソンをしていると出ることがあります。炎症部分へのステロイドが有効ですが、効果がないときは外科的な処置が必要になることもあります。

ステロイドの副作用

『ステロイド』と一口に言っても様々な種類があります。また、その用途や使用方法も多岐にわたります。例えば、ネフローゼ症候群という腎疾患では経口投与が行われ、アトピー性皮膚炎では軟膏を使い、喘息のコントロールには吸入薬を用います。また、関節に注射をして使うやり方もあります。
一般的な副作用は、「成長障害」「骨粗鬆症」「副腎不全」「易感染性(いかんせん/感染しやすくなること)」「眼症状(白内障や緑内障)」「クッシング症候群(ステロイドの過剰投与で肥満、高血圧、筋力低下などを来たす)」などを挙げることができます。
今回の質問が関節への注射かどうかは確定できませんが、関節内にステロイドを注射するときは、吸収速度が緩やかになるため短期間に何度も使うことは避ける必要があります。

今回の場合

アキレス腱炎の場合、ステロイドを使うことはあると思います。ステロイド自体は有用な薬剤ですが、上記のように様々な副作用があることもまた事実です。投与方法や投与期間などを確認することはもちろんですが、本当にアキレス腱炎なのか、捻挫なのか、その他の疾患の可能性はどうなのか、など主治医の先生とよく話し合うことをお勧めします。

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