子どもの健康をアドバイス 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテ

症状

海外で「川崎病」と言われました

時期
一週間前
お子さんの年齢と性別
1歳2カ月・男の子
症状の詳細

現在、フィリピン在住です。一週間ほど前にフィリピンへ引っ越してきました。その頃から、息子の手のひらの皮がボロボロと剥がれているのに気づきました。こっちの小児科病院へ行き、血液検査をしましたが、特に異常はないとのこと。フィリピンに来る前にインフルエンザにかかり、その時にタミフルを処方したと伝えると、「川崎病の可能性があるから2、3日入院して心臓のエコーをとった方がいい」と言われました。
これは日本でも同じ流れなのでしょうか。色々サイトを調べたりしましたが、川崎病と診断されてからエコーをとることしか書いてありませんでした。息子は、熱も平熱で目の充血や舌の腫れや赤みもありません。手のひらの皮がボロボロしているだけで、機嫌もいつも通りです。なので、冬の日本から急に暑いフィリピンへ来たために、しもやけの手がふやけた…くらいにしか思っていなかったので、驚いています。もちろんエコーをして何でもなければいいですが、手がボロボロしている以外に特に何もないのに、1歳の子どもを入院させて麻酔をかけてまでエコーをとる必要があるとは思えません・・・。

(きりん さん)
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ユンタ先生からの回答

今回は川崎病の疑いがあるお子さんの質問です。頂いた相談内容を読んだ限りでは、川崎病の可能性は低いと思われます。もちろん、心臓のエコー(超音波)検査をして何もないと確認しても良いのですが、外来で検査を行っても良いように思われます。川崎病でも指の皮がむけますが、通常指先の爪の部分からです。下記の内容も踏まえてもう一度相談されることをおすすめします。

川崎病の症状

川崎病では血管の炎症が起き、特に冠動脈(心臓の筋肉に血液を送る血管です)にコブを作ることがあり注意が必要な疾患です。診断基準は次の6項目で、このうち5項目を満たすと『川崎病』だと診断が確定出来ます。

1)5日以上続く発熱
2)眼球の充血
3)頸部(けいぶ)リンパ節の腫脹
4)口の変化(唇が赤くなったり腫れたり、舌がイチゴの表面のようにブツブツします。)
5)皮膚の変化(発疹が出ます。また、BCGの接種部位が赤くなることがあります。)
6)手足の変化(初期は指が腫れたり手のひらや足の裏が赤くなったりします。急性期を過ぎると上記のように指先の皮がむけます。)

上記のうち5項目を満たせば診断確定ですが、中には3項目や4項目だけでも治療が行われるケースもあります。スタンダードな治療は、“アスピリン”の内服と血液製剤である“ガンマグロブリン”になります。
今回は、発熱はインフルエンザと確定している上、当てはまる項目は多くても2項目なので、川崎病というには症状が乏しいと思われます。

川崎病のフォローと心エコー

川崎病の治療が行われ、急性期が過ぎると定期的なフォローが行われるようになります。通常、発症してからの1カ月が最も冠動脈にコブが出来やすいので、この期間は繰り返し心エコーが行われます。そして状態が安定すると徐々に心エコーの間隔が空いていきます。フォロー期間は通常数年に渡ります。
多くの場合、小児で心エコーを行うときには眠る薬を使います。この時も入院はせず、外来で眠る薬を服薬して、眠ったところで検査を行うことが多いと思います。

今回の場合

今回は発熱の原因がインフルエンザと診断がついています。また、川崎病の診断基準に照らしても、せいぜい2項目(発熱、手の皮がむける)までかと思います。このため、質問の内容から考えると川崎病の可能性は低いと思われます。経過を振り返って、川崎病が疑われたお子さんに対して心エコーを行うことがありますが、通常は外来で行われます。国によって医療が変わることはよくあるので、担当の医師ともう一度相談することをおすすめします。

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