子どもが誤飲をしてしまったら、どのような対処が必要ですか?
- 0歳8ヶ月・男の子
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子どもがハイハイを始めるようになってきたため、床に物が落ちていないか気にするようになりました。よくニュースで子どもの誤飲について報道されていますが、もし本当に何かを飲み込んでしまった場合、どのように対処したらいいのでしょうか。救急車を呼んだとしても到着するまでに数分はかかるわけなので、親としてやるべき対処法がわかっていると、いざというとき安心です。
- (nicole さん)
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今回は日常生活での注意です。まずは誤飲・誤嚥(ごえん)をさせないようにすることが一番ですが、それでも異物を口に入れてしまうことがあります。吐かせたほうがいいもの、悪いもの、自宅で経過を見ていいもの、すぐに救急車を呼んだほうがいいものなど様々です。今回は主要な対処方法を紹介しましょう。
誤飲、誤嚥とは
誤飲とは異物を飲み込んでしまうことです。異物は口から食道、胃へと入っていきます。固形物の場合、胃までいくと食物とともに便として排泄されます。
一方、誤嚥(ごえん)とは口に入れたものや胃からの吐物など空気以外のものが気管に入ってしまうことをさします。気道が突然閉塞して呼吸困難や窒息を起こすことがあるので、緊急性が高いです。例えば、物を飲み込んだ直後にせき込んで、急に顔面蒼白になってしまった場合などは、誤嚥による呼吸困難が考えられます。一刻を争いますので、逆さにして背中を叩いてください。誤嚥したモノが出てくる、あるいは呼吸が改善される可能性が高まります。
誤飲の処置と注意
基本は、体の中(喉より奥)に異物を入れない、ということです。そのために口の中にあれば取り出す、場合によっては「吐かせる」といったことが必要になります。吐かせ方は、次の通りです。立て膝をした大人の太ももにうつ伏せにしたお子さんを乗せます。このとき頭が体より低くなるようにします。そして喉の奥を指やスプーンで刺激して嘔吐反射を誘発して吐かせます。ただし、中には嘔吐させると危険な場合もあります。次のような時は、嘔吐させないで下さい。
1)意識がはっきりしていないとき
2)灯油などの石油製品を飲んだとき(ナフタレンも吐かせてはいけません)
3)強酸やアルカリ製品を飲んだとき
4)吐いたものに血液が混ざっていたとき
5)針のように尖ったものを飲んだとき
このようなものを飲んだときに吐かせると、窒息や肺炎を起こしたり食道を傷つけたりしてしまうことがあります。
誤飲されることが多いもの
乳児期にもっとも多い誤飲物はタバコです。誤飲した長さが2cm以下で、数時間程度で症状(吐気、嘔吐、顔面蒼白など)が出現しない場合は処置が不要なことが多いです。誤飲した量が多かったり不明だったりした時は胃を洗浄する必要があります。
もう少し大きくなるとコインや電池、医薬品、化粧品などの誤飲が増えてきます。コインや電池などはほとんどの場合、便と一緒に出てしまいます(ボタン型電池が長い時間胃の中にあると中で腐食します)。医薬品や化粧品はその成分によってさまざまな対応が必要になります。
家庭では
予防が最も重要になります。まずは床に物が落ちていないようにしてください。そしてハイハイをする子どもの目線に合わせるために床にうつ伏せになって危険なものがないか確認してください。乳児はある時急につかまり立ちや歩行ができるようになります。立って手を伸ばしても届かないように、子どもの口に入る大きさのものは1m以上高い所に置いてください。
誤飲の場合、吐かせてよいものならば上述の方法を試みてもよいと思います。吐かせるとかえって危険なものもあります。迷うようなら止めたほうがよいでしょう。医療機関を受診するときは何をどれくらい口に入れてしまったかが重要な情報になります。飲んでしまったものの残りや医薬品などなら添付文書、入っていた箱なども持って受診してください。また
日本中毒センター:http://www.j-poison-ic.or.jp/homepage.nsf
のホームページでも誤飲物の個々の毒性や症状などを調べることができるのでご参照ください。また気道異物で窒息や呼吸困難のときは急いで救急車を呼んでください。
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