小児ではめずらしい「過換気症候群」と診断されたのですが…
- 1歳くらいから。痛かったり、嫌な思いをした時になります。
- 1歳4ヶ月・男の子
-
激しく泣くと息を吸ったまま吐けなくなり、真っ青になってしまいます。内科で相談してみたのですが、過換気症候群とのことでした。小児では少ないということですが、改善されますか。先日、戸で手をはさんだときには、白目をむいて脱力してしまっていました。ここまでひどかったのは初めてでびっくりしました。これも心的な問題でしょうか。診察は受けた方がいいでしょうか。
- (そらまめ さん)
-
今回は過換気症候群が疑われたケースですが、内容からは過換気症候群よりもむしろ憤怒けいれんの可能性が高いように思われます。小児科または小児神経外来のある病院を一度受診することをお勧めします。可能ならばその時の様子をビデオなどで撮影できていると、診断の一助になります。
過換気症候群とは
激しい運動をしたり興奮したときなどに起こるものです。浅い呼吸を繰り返し、呼吸数が増えて多呼吸になります。息が吸えないような感覚になり、そのためかえって浅い呼吸になってしまいます。多呼吸によって体の中の二酸化炭素が吐き出されてしまい、血液検査を行うと血中の二酸化炭素が減っていることを確認することができます。1歳のお子さんの発症は、まれだと思います。発作を起こしている時の血液検査で確認することや、そのほかの病気でないか確認することをお勧めします。
憤怒けいれんとは
怒りや痛み、恐怖などをきっかけにして激しく泣き、息を止めてしまいチアノーゼ(皮膚が青紫色)になってしまうタイプと、さらに顔面蒼白になって意識を失ったりけいれんしてしまったりするタイプがあります。発症する時期は1歳前後からで、発作時間は1分以内のことが多いです。泣いた後に呼吸を止めてしまったり、顔色が悪くなってしまったり、ということなので今回は憤怒けいれんの可能性があると思われます。憤怒けいれんは年齢が上がると発症頻度は減少し、小学生になる頃には通常発作が出なくなります。憤怒けいれんの症状は一見てんかんとも似ていますが、原因は全く別で、CTやMRIなどでも特別な異常はなく、発作が出ていないときの脳波も異常ありません。てんかんの場合は、一部のてんかんを除いて発作がでていないときでも脳波異常があります。また、発達などに影響を与えることもありません。
今回の場合
年齢的に1歳で過換気症候群を繰り返すということは、まれだと思います。憤怒けいれんの可能性が高いと思いますが、てんかんなども鑑別の候補になります。過換気症候群と憤怒けいれんでは対処が異なります。小児科または小児神経外来を受診して下さい。
憤怒けいれんは激しく泣いた時に誘発されることが多いので、そのような状況を避けることが必要ですが、病気に対して過敏になり過ぎたり、過干渉や過度に甘やかしてしまったりすることにも注意が必要です。周囲が病気に対して理解し、発作を起こしたときにケガをしないようにしてあげることで経過を見ていくことができると思います。※参考ページ
憤怒けいれんだと思うのですが、てんかんの疑いもあるようです
http://ikuji.mag2.com/yunta/20060725.html
- 小児科医ユンタ先生のすこやかカルテの最新号がいち早く読める!
- ↓育児のまぐまぐ!の登録(無料)はこちら↓
- 全国のママさんが集まる場です。日々のちょっとした出来事を話したり、妊娠、出産、育児に関するアドバイスや励ましがもらえます。
Powered by ウィメンズパーク
-
- この記事に対するTrackBackのURL
-
- コメントはまだありません。