子供の病気に関するお悩みに、現役医学博士の小児科医ユンタ先生がお答えします。

今回はワクチンについての相談です。現在でも麻疹の流行はあり、昨年の流行は記憶に新しいと思います。また麻疹は治療法がなく重症になりやすいのですが、時に亡くなってしまうこともあります。そのため２期までの３年間を待たずにワクチン接種することをお勧めします。またどちらかといえば三種混合の追加接種よりもMRワクチンを先にしたほうがよいと思います。
ワクチンを接種した場合と実際に病気になった場合を比べると、「きちんと免疫ができる」という観点から言えば、病気になった方がきちんと免疫が作られます。ワクチンはうまく抗体ができないことや、抗体ができても抗体の効力が弱くなってしまうことがあります。ただし、どちらがより日常生活を安全に送れるのか、という観点から見れば、ワクチンを接種したほうがよいでしょう。

麻疹とワクチン

風疹は麻疹に比べて症状が軽いので、ここでは麻疹について主に取り上げます。麻疹は発熱や発疹などが主症状となりますが、肺炎、中耳炎、肺炎などの合併症を起こすことがあります。二次的に細菌感染を起こしたり、脳炎で麻痺を起こしたりすることもあります。また、麻疹（はしか）に対しては特別な治療法はなく、対症療法のみになります。ちなみに、世界レベルでみると日本は麻疹の輸出国です。
麻疹のかたと接触して緊急に予防するためにガンマグロブリン（血液製剤）を使用することもありますが、予防の基本はワクチンになります。以前は麻疹のワクチンは１回接種だけでしたが、接種漏れや、ワクチンでうまく抗体ができない、抗体価が落ちてしまう（ワクチンの効果が弱くなる）ことなどの理由で２回接種するようになりました。日本以外の国でも２回または３回接種する国は多くあります。

ワクチンを接種する順番

乳児期にBCG、三種混合ワクチンを打ち、ポリオを１歳半までに済ませます。また１歳、５歳でMRワクチンを接種するのが一般的な順番です。今回は三種混合の１期（３回接種）まで済ませているので、まずはMRワクチンが良いと思います。４週間あけると、ほかのワクチンが打てるようになるので、その後に三種混合ワクチンの追加接種が良いと思います。

ワクチンと感染

ワクチンを接種しても抗体ができないことがあります。一方実際に病気になるとほぼ確実に抗体を獲得することができます。また麻疹など１回ワクチンを接種して抗体を獲得しても長期間のうちに抗体価が落ちてしまうことがあります。そのため２回接種になっています。