クレヨンで絵を描くのがとっても好きなのですが、明るい色もたくさんあるのに、いつも黒や茶色を選びます。暗い色を選ぶのは、何か心に不安があったりするのでしょうか?
私の行うカウンセリングは、絵を使った方法ではありません。しかし、子どもの気持ちが楽になっていくと、絵にも変化が表れることがあるようです。時々お母さんから、「子どもが描く絵が変わってきた」という報告を受けますから。
自分に自信が出てくると、自画像の絵が大きくなったり。友だちと楽しく遊べるようになると、絵にたくさんの友だちが登場するようになったり。心が元気になってくると、明るい色を使うようになったり…。絵は、子どもの心を反映するのですね。
ですから相談のお子さんのように、暗い色ばかりを好むような場合は、「この頃、ストレスがたまっているのかな?」と少し立ち止まって考えてあげることも必要でしょう。もっとも個性として、シックな色・渋い色が好きな子どももいることでしょう。ですから、特に思い当たるふしがないとすれば、気にしない方がいいですね。
私の知人で、子育て相談(親子カウンセリング)の仕事と、子ども向けの絵画教室の仕事、両方をやっている女性がいます。その方から興味深い話を聞きました。
絵画教室にやってくる子どもの中で、黒のクレヨンでぐるぐると丸を描くだけの子どもが、時々いるそうです。表情や行動からも、「ああ、けっこうストレスをためこんでいるみたいだな」と思いながらも、彼女はそれを止めないのだそうです。
逆に、「いいね、いいね、その調子!」と誉めながら、何枚も何枚も、子どもの気が済むまで、黒のぐるぐるの丸を描いてもらうのだとか。しばらくは、毎回来るたび同じ調子なのですが、そのうち子どもの表情がほぐれてきて、自然に明るい色も使うようになっていくのだそうです。
「暗い色ばかりを使って絵を描きたがるのは、そういう表現行為によって、ストレスを吐き出そうとしているから。だから、好きなだけ描かせてあげた方がかえって心がスッキリするのよ」と、彼女は教えてくれました。
たとえば子どもは、“泣く”という表現行為で、心にたまったマイナス感情を吐き出します。そして、心の痛手を乗り越えていきます。それと同じような“癒しのメカニズム”が、絵を描くということについても言えるのですね。
お母さんとしては気がかりでしょうが、子どもの持つ自己回復力を信じて、子どもの表現行為を認めてあげた方がよいのではないでしょうか。
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