「癒しの子育て」「親育ち」をアドバイス ぴっかりさんのすくすく道場

115.暴力が原因で別れた夫のことを、子どもに聞かれたら?

ミユキさんからの相談 6歳の男の子

初めまして。結婚後、夫のDVで悩み続け5年。子どもが産まれ、離婚を決意。今はシングルマザーです。子どもが産まれてすぐ離婚したため、父親のことを知りません。死んだものと思っています。その子もいま6歳。お友だちに、「パパは?」と聞かれることもあるようです。この先どうしたらいいのか…。子どもは父親のことに関して、「なんでパパはいないの?」「パパがいればなー」と言っていたこともありましたが、私からは何も話しません。DVのことを話すのも嫌ですし…。小学生になるといろいろ聞かれるだろうし、どうしたらいいでしょうか?

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ぴっかりさんからのアドバイス

DVについて

「DV」(ドメスティック・バイオレンス)は、直訳すると「家庭内での暴力」ですが、日本では「夫やパートナーなど、親密な間柄にある(あった)男性から女性に対して振るわれる暴力」という意味で使われるのが一般的です。

「妻は夫に従うもの」という古い考え方が女性に我慢を強要し、「たかが夫婦ゲンカ」と、男性の暴力を容認してきた社会構造があります。しかし、夫婦間であってもそれはれっきとした暴力事件。平成13年には「DV防止法」も制定されました。

勇気ある第一歩

しかしながら、「できれば事を荒立てずに、丸く収めたい」「もう少ししたら、彼も昔の優しさを取り戻してくれるかも…」と思ってしまうのが人情ですね。また暴力を受け続けると、ある種の洗脳状態になり、「私が悪いからだ」「私に我慢が足りないのだ」という気持ちになったりするものです。

しかしDVは、妻の心と体に傷を負わせるだけではなく、暴力を振るう夫の姿を見る子どもの心にも、大きな傷を残します。また、暴力が子どもにも及んだり、暴力を受けた妻自身が、子どもを虐待してしまう可能性もあります。

“離婚”という道を選択するには、たくさんのエネルギーが必要だし、大きな不安や葛藤がつきまとったことでしょう。それにもかかわらず、子どもと自分自身を守るために決断されたことは、とても勇気のある第一歩だったと思います。

「誇りに満ちた戦い」を伝える

そして今、勇気を出して“第二歩”を踏み出す時が来たのではないでしょうか。それは、「お子さんに事実を伝える」ということです。それは、“暗い過去”や“みじめな記憶”などではなく、“誇りに満ちた戦い”の歴史。「ママは、あなたとママ自身を守るために、勇気を出して一歩を踏み出したの」と、どうぞ胸を張って伝えてあげてください。

もちろんそのためには、“嫌な思い出”も話さなければなりません。しかし、「DVのことを話すのも嫌」と感じておられるということは、今もまだ過去を引きずっているという面があるのではないでしょうか。だとすれば、お子さんに事実を伝えるという作業は、あなた自身の「人生のけじめ」にもなりそうですね。

お子さんに話していると、心の奥底に封印してきた“悲しみ”や“怒り”、“不安”などが吹き出してくるかもしれません。でもきっとお子さんは、それをしっかりと受け止めてくれることでしょう。たった1人で戦ってきたあなたは、その時わが子という“頼りになる戦友”を発見するはずですよ。

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